土質力学初級集中講座3(透水)
7月3日の1講目は、名古屋大学の中野先生の「透水」の講義でした。
開講前にエレベーターで、中野先生が一言「しばらく透水の講義していないんだよね・・・」。
学生相手ではなく、技術者を相手にする講義というのはかなり緊張するのだそうです。
1.土が水の中をながれるには→水頭に位置的な差があると水が流れる
土は隣に置いておいて、水槽の話。
静水圧の圧力差があるから水は流れることはない。
水槽の基準面の高さの違いで水は流れるわけではない。
→水頭が同じであれば、水は流れない。(Bernouilli(ベルヌーイ)の定義)
ベルヌーイの定義は、圧力水頭と速度水頭を考慮するけど、土中の場合は速度水頭は無視できるくらい遅い。
2.ダルシー則
単位面積当たりの流量(Q/A)は、水頭差(Δh)と流れる長さ(ΔS)の割合(傾きΔh/ΔS:動水勾配)に比例している。
単位面積当たりの流量(毎時の流量Q(m3/時間)/断面積A(m2))は水の速度の大きさとして表現される(m/時間)。
したがって比例定数となるkは速度の単位になる。→k:透水係数
ベクトルにすると、高いところから低いところに水が流れることから、透水係数の前に-を付ける必要がある。
透水係数の求め方(試験室における)
①定水位透水試験:透水性の悪い土は浸透しないから流量が少ない→粘土には向かない
②変水位透水試験:透水性の良い土はスタントパイプを読むことが難しい→砂には向かない
断面積Aは、土粒子の断面積と間隙の断面積と分けて考えてはいけない。
→ダルシー則での水の流れの時には、土粒子は存在しないと考える。
3.連続式
水は連続している→入ってくる水の量と出ていく水の量は等しい。
シリンダー内の透水試験の例
シリンダー内の全水頭分布は直線で書かれる(一次関数)→2回微分したら0となる
(算数は苦手です)
4.ダルシー則と連続式の応用
水平堆積層の等価な均質層の透水係数は鉛直方向と水平方向とでは異なる。
(計算式で求めた)
鉛直方向の透水係数
→一層でも透水係数の極めて低い層があると、等価な透水係数は一気に低くなる。
水平方向の透水係数
→一層でも透水係数の極めて高い層があると、等価な透水係数は一気に高くなる。
(現場透水試験の透水係数って何を見て居るんだろう?)
等ポテンシャル線:全水頭の等しい点を連ねた線
流線:水の流れる方向
正方形フローネット:対象とする透水場を等ポテンシャル線と流線による正方形で覆ったもの
正方形フローネットで流量・水圧を求める。→台形の均質材料からなる堤体の水の浸透の例
5.浸透力(透水力)
水が土の中を流れると、流れる方向に浸透力が土に作用する。
浸透力は流そうとする動水勾配と単位体積重量の積である(i(動水勾配)×γw(水の単体))
有効応力とは、(土の深さ方向の全応力分布)-(深さ方向の静水圧分布)である
有効土被圧がゼロになると、土として存在しえなくなる→クイックサンド、ボイリングを引き起こす現象
土中に水が流れた場合の水圧分布→いわゆる被圧状態?
有効土被圧がゼロになった状態を限界動水勾配という
限界動水勾配は、間隙比eと比重Gsで表せる
(感想)
フローネットの辺りをもう少し勉強したら、浸透流解析に対する理解が深まるのかなあ?と思っています。
クイックサンドとボイリング、盤ぶくれの問題ってもう一回頭の中を整理する必要がありそうです。
毎度の事ながら理解したんだかどうだか・・・って感じだ。