マンモスのゲップが減ったので、地球は寒冷化した??
地球上の生物活動の変化で、地球の温暖化と寒冷化が発生しているという結論づけたいひとが居るようで、今度は、マンモスが絶滅したから地球の寒冷化が発生したなんて話が出ています。
まあいろんな説が出てきて議論されることは良いことだと思いますが・・・
そのうち、地磁気の逆転とか、火山活動までが生物活動の影響によるものだなんて言い出さないことを祈っております。
ニュース – 古代の世界 – マンモス絶滅で寒冷化に拍車?(記事全文) – ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
マンモス絶滅で寒冷化に拍車?
氷河時代、人類の乱獲でマンモスが絶滅したことによって、温室効果ガス排出量が減少し寒冷化が進んだとする研究成果が発表された。
マンモスをはじめ氷河期に生息していた大型動物(メガファウナ)は、約1万2800年前に南北アメリカ大陸から姿を消した。その結果、大型動物がゲップして排出する温室効果ガスの量が急減し、最後の亜氷期であるヤンガードリアス期の寒冷化に拍車がかかったという。
また、大型動物を絶滅に追いやった張本人は人類だと考えられる。この事実は、アメリカのフォード・モーター社が開発した自動車「T型フォード」に象徴される大量生産・大量消費時代が到来するはるか前から、人類が気候変動に影響を及ぼしてきたことを示唆している。
氷床コアの分析から、ヤンガードリアス期が始まったのは最終氷期の終わりに近い約1万2400年前とみられる。人類がアメリカ大陸へ渡ってから約1000年経過した頃だ。
地球は温暖化が始まっていたが、急激に寒冷化に戻り1300年ほど続いた。北アメリカ大陸東部とヨーロッパ北部では気温が4~8度下降したと推測されている。一方、人類がアメリカ大陸へ移り住んでから約1000年の間に、ケナガマンモス、巨大ラクダ、地上性の巨大ナマケモノなど、大型草食動物114種以上が絶滅した。
今回の研究によれば、この絶滅と寒冷化を結びつけるカギは、メタンガスだという。メタンガスは地球温暖化の一因であり、その温室効果は二酸化炭素の20倍にも及ぶ。
一般的には知られていないが、大型草食動物が食物を消化する際に体内で発生するメタンガスは口から排出されている。「排出されるメタンガスの80~90%がゲップによるものだ」、と今回の研究を率いたニューメキシコ大学のフェリサ・スミス氏は説明する。
研究によると、ヤンガードリアス期初頭に起きた大気中のメタンガス濃度減少のスピードは、地球史のほかの時期に比べて2~4倍速かったという。「原因は、メタンガスのゲップをする巨大動物が絶滅したことだ。絶滅により失われたメタンガスの推定量は1000万トン近い」とスミス氏は指摘する。
「氷河期の大気中のメタンガス濃度は現在の3分の1ほどだったため、大型動物からの排出がなくなった影響はひときわ大きかった。メタンガス減少の少なくとも12~15%はこの絶滅によるものだと推測している」と同氏は語った。「100%だった可能性だってある」。
現在の地質時代は、1万1500年前に始まった完新世とする見方が定説である。一部の科学者は、地球は既に「人類中心時代(アントロポセン)」という新時代に突入していると提唱しており、スミス氏の研究チームも同じ立場だ。この区分は、人類がもたらした幅広い影響をもとにしている。
アントロポセン時代は、約2世紀前の産業革命と軌を一にするとの解釈が一般的だ。「しかし、氷河期の大量絶滅の原因が人類にあるとすれば、アントロポセン時代の始まりは1万3400年前の氷河期までさかのぼるはずだ」と研究チームは説明する。
「どのように時代を区切ろうとも、人類が完新世の始まる前から環境に影響を及ぼしてきたことは確かだ」と、スミス氏は締めくくった。
この研究成果は5月23日付「Nature Geoscience」誌に掲載されている。
Illustration from DEA Picture Library, Getty Images