サルレトロウイルス4型

この話、「あっそうなんだカニクイザルが従来持っていたウイルスがニホンザルに感染して、それで発症したんだ!」なんて納得してしまうところだった。

人間による生物移入が、こういう事態を引き起こすことがあるわけで、世界のいろんな地域に生息している生物をまとめて飼うというのは結構リスキーなことと見た方が良いのかも知れない。
今回は人間に感染しないレトロウイルスだったが・・・これが人間に感染するタイプだと、エボラ熱とかになるんだろうな。

中日新聞:別種からウイルス感染 犬山・ニホンザル大量死:社会(CHUNICHI Web)

別種からウイルス感染 犬山・ニホンザル大量死

2010年11月11日 23時37分

 愛知県犬山市の京都大霊長類研究所で飼育中のニホンザルが原因不明の疾病で大量死した問題で、原因はカニクイザルが持つウイルスに感染、発症することで起きたニホンザルのみに特異に引き起こされる血小板減少症だと分かった。人への感染の危険性は極めて低いという。霊長研の要請で発足した「ニホンザル疫病対策第三者委員会」の吉川泰弘委員長(北里大教授)や霊長研の松沢哲郎所長らが11日、京都市の京都大で会見して明らかにした。

 報告によると、発症したニホンザルの血液中から、東南アジアのカニクイザルの一部が自然感染しているサルレトロウイルス4型(SRV-4)が検出された。SRV-4に対する抗体は見られず、ウイルスが骨髄細胞を傷つけて血小板を激減させ、死に至らせたと考えられる。

 研究所は病気やけがで、治療が必要な異種のサルを同じ部屋の別のオリで飼育していたことがあり、唾液(だえき)やふんを介してカニクイザルの持つSRV-4が同属のニホンザルにうつり、他の個体にも感染した可能性が高い。

 カニクイザルはSRV-4に自然感染していてもほとんどの場合は無症状で、人を含めたニホンザル以外の霊長類で今回のような発症はないという。発症した個体を長期にわたって飼育、治療してきた担当者4人についても検査したが、感染は認められなかった。

 霊長研は現在、発症した個体と同居するなどしていた39匹を隔離飼育しており、うち感染した8匹は安楽死させる予定。他のニホンザル全770匹も調査中で、徹底的な消毒や異種のサルを同居させないなどの対策をとっている。

 吉川委員長は「自然界では出合うことのないカニクイザルとニホンザルが、研究所という特殊な環境下で同居したことで起きた。ニホンザルのような発症は人ではないだろう」と説明している。

 松沢所長は「事態は収束の方向に向かっている。さらなる原因究明や情報開示をしていきたい。風評被害で困られた点については大変申し訳ない」と話した。

 【ニホンザル大量死】 2001~02年に6匹、08年3月~10年9月の間に44匹(安楽死も含む)が病死。発症したニホンザルは鼻や口から出血し、血小板が激減、高い確率で死んでいた。霊長研や国立感染症研究所など五つの機関が、今年7月ごろから原因究明のための調査を開始した。

(中日新聞)

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