もち米モルタルはスゴイらしい
「中国なんて建材に食べ物なんか混ぜて・・・」とバカにしてはいけません。
いかに強い建物を造るという研究は、最近始まったわけではありません。
試行錯誤の末、中国ではもち米を漆喰に混ぜると有効だということを発見したのでしょう。
日本にも多分同じようなものはあるのかも知れません。
もち米モルタルのすごいところは「縮みを抑制している」ところなんだそうです。
地震に強い建物が欲しかったのは今も昔も変わらないってことですね。
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中国の歴史を支える“もち米モルタル”
Kate Ravilious
for National Geographic News
June 9, 2010箸でつまんで食べるのに適したもち米は、中国で数世紀前に作られた橋や寺院、墓、街を囲む城壁の堅牢さを保つことにも役立っていることが新たな研究で明らかになり、この独特な建築素材の“伝説的な強さ”の秘密が解き明かされた。
中国の歴史を支える“もち米モルタル”
600年前に南京で建造された城壁の漆喰(しっくい)を分析した結果、粉末状の石灰石ともち米で作った粥(かゆ)の混合物であったことが確認された。中国、浙江大学物理化学研究所の張秉堅(Zhang Bingjian)氏が率いた研究によれば、解明の糸口となったのは米に含まれる炭水化物アミロペクチンの存在だった。
漆喰の歴史に詳しいイズミール工科大学(トルコ)のセダト・アッカート氏は電子メールによる取材に対し、「長い歴史の中で、人間は尿や血液、卵など様々なものをモルタルに混ぜてきた。したがってコメが普及している中国において漆喰に米を混ぜていたとしても驚くには当たらない」と話す。
中国では甘い料理にも辛い料理にも使われるもち米は、調理によって粘りが出るアジア産の短粒米だ。
もち米が混ぜられていたことに驚かなかったのは張氏のチームも同じだった。古い書物の記述により、中国で1500年以上前から“もち米モルタル”が使われていたことは、かなり前から知られていた。
この粘性の建材は現在も多くの建造物で高い強度を保っており、大地震や人間が与える脅威にも破壊されることはなかった。この研究によれば、例えば明代(1368~1644年)に建てられたある墓の一部は「ブルドーザーでさえ歯が立たないほど固かった」という。しかし、具体的にどのような要因がこの漆喰の強度を持続させるのかについては、これまで謎とされてきた。
研究チームは化学的分析や走査型電子顕微鏡など複数の手法を用いて、石灰石の炭酸カルシウムに米のアミロペクチンを加えると通常の漆喰に比べ炭酸カルシウムの結晶が細かくなることを発見した。その結果、特に水に対する耐久性に優れ、時間が経過しても形状を保つ可能性の高い、より強固な結合を持つ混合物が生まれるという。
アッカート氏は「世界のほかの漆喰と比べれば強度は平均的だが、縮みを制御する効果には興味深いものがある」と話す。
さらに今回の結果からは、漆喰の中で重要な化学反応が継続的に生じるため、“もち米モルタル”は時間の経過とともに強度が増すことが示唆されている。700年以上前に建設された中国東部浙江省の寿昌橋(Shouchang Bridge)の補修など最近行われた保存事業には、既にもち米が利用され成功を収めていることを研究チームは指摘する。この研究結果は今後の修復事業に今まで以上の成果を約束するものだという。この手法を取り入れれば、保存しようとする建造物に使われた漆喰の製法を特定し、新たな原料を混合して当時と同じ調合の漆喰を作り出すことができるようになるのだ。
この研究は、6月1日付の「Accounts of Chemical Research」誌に掲載された。
Photograph by Bernd Lippert, Getty Images
■研究途中(の・でおっぽりだした)ネタ
以前,コンクリートに紙おむつのの吸水材を入れることを考えました。
ワーカビりティーを損なわず,見かけのW/Cを小さくしようとしたのです。
でも,コンクリート中の水のイオンの関係で,吸水材が水を吸ってくれません。
水を含ませた吸水材が,乾いたコンクリートに水を与える挙動が不明です。
というとこまで調べて,自分は退職してしまいました(笑)。
コンクリートは,他の材料より化学の実験ネタとしては面白いと思いますよ。
強いコンクリート(モルタル)を作ることは、昔からの課題だったようで、昔の人は、動物の血とかありとあらゆるモノを混ぜ込んだらしいですね。
まあコンクリートは、自分の畑の外の話なので、作る事を研究することは無いでしょうけど、現存するコンクリート構造物を見る目は欲しいなあと思っています。