「音で探る海溝型地震」を聴講してきた

名古屋大学防災アカデミーというのが、かなり前から開催されていたようなのですが、私はその存在をあまり知りませんでした。名古屋大学災害対策室が主催されているセミナーですが、どんな人が参加されているのだろうという興味もあり、聴講させていただきました。今回は理学的な話なので、私の興味もあったのですが、1ヶ月に1回開催されるとのことなので、しばらく行ってみたいと考えています。

回数をかなり重ねているためか、かなり常連な方が多いようで、聴講者は100名ちかく?居たようで盛会である。
年齢構成を見ていると、学生・院生が3割、社会人2割、現役の一線を退いた人5割と言った感じで、高齢者の向学心に圧倒される。さらに質疑応答の時に、そのすさまじさを垣間見るのであった。

今回の話は、「音で探る海溝型地震」ということで、地震予知(まあ予知って言って良いのかどうかはあるけども)、の研究の一端として、海底に超音波発信器を仕込んだ基準点(海底ベンチマーク)を設置し、それを観測することによって海底での地殻変動を把握しようとする研究の紹介でありました。

(原理)
・水中はGPSの電波が減衰してしまい届かないので、海底でGPSで測位することは難しい。
・水中でものの距離を測定したりするのに有効なのは音波である。
・海底に超音波発信器を仕込んだ基準点を設置し、それを海上の船舶で受信し、GPSで位置を把握する。
・音波の伝播速度は水温に大きく左右される。
・色々な技術改善を経て、2km先のターゲットに対して、1cm程度の精度まで向上させることができた。
・超音波発信器の寿命(電源)は7年程度の設計、まだスペースがあるので15年くらいは延ばせそうだ。
(測定実績と評価)
・2004年の紀伊半島沖の地震(これはあの滅茶苦茶震源の深かった地震か?)
・2009年の駿河湾の地震
・いずれの地震においても、地上で測位している記録よりも大きい変動があり、海溝型地震をモニタリングするのに海底で地殻変動を測位する必要性は高い。
(問題点)
・水平方向の測位に対して有効であるが、上下方向に測位誤差は大きい。(水圧計による上下観測がある。)

走り書きのメモですが、こんな程度の話だったように思う。
さて、今回のおはなし、いきなりプレート型の地震の説明で「固着域(アスペリティ)」という言葉が出てきた。
さすがに横文字でアスペリティとは使ってこなかったものの、いきなり固着域と出してきたので、年輩の方々は「なんじゃそれは?」って事になってしまったようだ。最近はNHKのMEGAQUAKEでも使っていた言葉なので一般的なのかもしれないが、ちょっとそこの説明を端折りすぎたかな?って感じがしました。
確かに、一般の人にアスペリティの説明をするのは難しいとは思いますけど・・・。
測位による大地震による地殻変動のメカニズムを探るには、結局のところ1回でかい大地震を経験しないことには、解らないことだらけってことなんだろうなあと勝手に思っています。

気になる話としては、「プレート背後に火山活動がみられる大陸側プレート拡大地域でも海底プレート型の地震が起きる。一連のスマトラの地震ではっきりして きた。似たような条件に沖縄琉球海溝がある。」
まあ面白い話だったなあと思ってます。

さて、今回の講師の田所先生。私と同じS48年早生まれ。
雰囲気が軽くて・・・うむ・・・って引っかかるのは、私が会社勤めしているからだろうな。
そうなんだろう。(苦笑)

名古屋大学 災害対策室

第58回:「音で探る海溝型地震」

 講師: 田所敬一(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)
 日時: 2010年4月26日(月) 18:00-19:30

 今回の防災アカデミーは、名古屋大学大学院環境学研究科地震火山・防災研究センターの田所敬一先生による「音で探る海溝型地震」です。
 田所先生は、東海地震や東南海地震の震源となる南海トラフの海底において、精密な地殻変動観測を目指しておられます。田所先生の弁によれば、海底の地殻変動観測にはそもそも道具(観測機器・システム)がないため、道具作りから始めたとのこと。最近では、完成させた機器を熊野灘と駿河湾に設置して、頻繁に測定を繰り返して「監視」されています。
 来たるべき大地震に向けて、地震発生の仕組みの解明や地震予知に大きな期待が寄せられています。今回は、道具の開発から繰り返し観測のための航海に至るまでの貴重なお話しをお聞かせいただけるものと思います。皆様のご来場をお待ちしております。

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