砂岩優勢互層が低速度層を形成していた
中部電力が、先日報道された浜岡原子力発電所5号機の地下にある地震波を増幅する地層について、プレスリリースしていました。
適当に先日コメントしていましたが、どうやら低速度層がいるのは事実のようで、周辺の地質と比べて3割ほど遅いとの結果が得られたそうです。
一般的なS波速度がVs=700m/sくらいだと仮定すると、Vs=500m/sを切ってくる事になりますので、結構コントラストのある地質だなあと思いました。
詳しいこと・・・(色々隠しているかもと思いますが)は、中部電力のウェブサイトでPDFで出てますので興味のある方はどうぞ。
さて、私も仕事でS波速度の話の話をしますが、第四系完新統の沖積層や更新統のいわゆる洪積層のS波速度は、砂質土や礫質土地盤で比較的早く、粘性土地盤で遅いというのが一般的な傾向だと認識しています。
しかし、今回の例も有りますが新第三系の堆積軟岩になると、砂岩が低速度層、泥岩が高速度層と逆転してきます。浜岡原発の相良層に限らず、新第三系のものはそういうデータを良く目にするので、これが一般的なのでしょう。
コメントを残してくれたYukoさんも地下水の話をしていましたが、地下水が賦存しているとS波速度は伝わりにくくなり、遅くなる傾向があることは一般に言われていることのようです。
砂岩泥岩互層状態で深層地下水が賦存している状態というのがイメージしにくいので、どうなんだろう?って素人みたいなことを考えていました。
いろいろまだまだ知りたいことがあります。
中部電力|浜岡原子力発電所 駿河湾の地震時の揺れに関する要因分析について – プレスリリース(2010年)
浜岡原子力発電所 駿河湾の地震時の揺れに関する要因分析について
2010年4月5日
中部電力株式会社
当社は、2009年8月の駿河湾の地震を踏まえた地下構造特性調査(追加調査)および地震観測記録の分析から、駿河湾の地震で発電所敷地内の揺れに違いが生じた要因の分析を実施しており、調査結果や評価がまとまった都度、国のワーキンググループ※に報告していますが、このたび、発電所敷地内の揺れに違いが生じた要因の分析について、これまでに報告した内容をとりまとめましたので、お知らせいたします。
整理したこれまでの結果は、次のとおりです。
* 地下構造特性調査(追加調査)の一部の結果から、敷地の相良層(砂岩・泥岩による互層)において、局所的に存在する構造として、砂岩の比率が5割を超える砂岩優勢互層が確認されています。その後の調査結果から、5号機の地下300~500mで、砂岩優勢互層より上部に、地震波であるS波の速度が周囲の岩盤に比べて3割程度低下している「低速度層」を確認しました。
* 「低速度層」は、反射法地震探査結果の反射面の特徴などから、5号機周辺から敷地外の東側に局所的に分布しているものと推定されます。
* 「低速度層」の分布を反映した地盤モデルによる解析の結果、駿河湾の地震の本震方向(発電所からみて北東方向)からの揺れについて、5号機周辺の揺れに違いがみられることから、この「低速度層」が駿河湾の地震で5号機の揺れが大きかった主要因であると考えられます。当社といたしましては、引き続き、「低速度層」の解析モデルの精度を向上させるなど、更に検証を進め、国のワーキンググループに報告してまいります。
※国のワーキンググループとは、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループのことです。