納期が逼迫

小糸工業の強度偽装の言い訳の中に「納期が逼迫していた」という言葉が頭の中に残りました。

品質競争、価格競争の厳しき折、何処を削るかと言えば、「試行と改善」の時間だったようです。
設計通りに作っても、その通りに強度ができない製品に対する、強度試験と改善対策だったのだろうと思うのです。でも納期に間に合わせるために、そのチェックが慢性的に故意に欠如していたというのが今回の事態なんだろうと思います。
ましてや万が一発生するかもしれない航空機事故に対する強度である。そんな強度を確保したところで一発大きな事故があれば、すべてめちゃめちゃになるわけで、そんな厳重なテストしたところでと、「軽視」されていたのでは無いでしょうか?実際、通常使う分には何の問題もないわけですから・・・。
(勝手な推察です。)

もしかして、トヨタ自動車のプリウスのブレーキ問題も同じことをしているのではないでしょうか?
電子制御でブレーキを効かすとは言え、電子プログラムではない機械部分との取り付け部は、計算上のものと実際の挙動に乖離があったはずです。本来ならば色んな条件を設定し、試行し改善しながら、そのプログラムを完成させるのだが、ここにも「納期が逼迫」という課題があったのではないか?と感じるわけです。
ましてや、プリウスモデルチェンジ、エコ減税と補助金の目玉車種であるわけで、販売する側は「早く出せ!」という、空気がなかったとは思えないわけです。
(これも勝手な推察です)

私たちの年度末のお仕事も、納期が逼迫しているのですが、こういうことはないんですかね?
多分にあると思うのですが、仕様書通りに報告書を書いていて問題があったのなら、仕様書が悪かったんで・・・という言い訳ができるのが、この業界なのかも知れません。
(これまた勝手な言い分です。)

旅客機の座席強度偽装、小糸工業「組織ぐるみ」 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

旅客機の座席強度偽装、小糸工業「組織ぐるみ」

 国内最大手の旅客機の座席メーカー「小糸工業」(横浜市)で8日、「もしも」の時に乗客の安全を脅かしかねない大規模な不正が発覚した。

 「不正は複数の部署にまたがり、組織ぐるみだった」――。経営陣の説明からは、長年にわたって安全を軽視してきた企業体質が浮き彫りになった。

 この日午後、同社の掛川隆社長ら4人は国土交通省内で記者会見し、掛川社長は「世界的な航空市場の伸びで、2003年ごろに受注が1・3倍ほどに増え、納期が逼迫(ひっぱく)していたためだった」と不正の背景を説明した。

 国交省が確認した不正は同社の複数の部署にまたがり、胴体着陸などの事態を想定して座席に衝撃を与える「動荷重試験」のデータ捏造(ねつぞう)など13項目に上る。

 同社では昨年1月、これとは別に実際の部品とは異なる部品で耐火性検査をパスしていた不正が発覚。それでも国交省が昨年6月と7月、「検査結果が捏造されている」という内部告発を受けて立ち入り検査に入るまで、今回発覚した大規模な不正は隠蔽(いんぺい)されていた。「立ち入り検査でも自発的な情報提供がなかった」。国交省の幹部は不満をあらわにする。

 掛川社長は「社内に隠蔽体質があり、つかみきれなかった」「組織ぐるみと言わざるを得ない」と厳しい表情を見せた。不正は受注が増えた03年ごろから顕著になったという。

 不正の中にはシートの布や革の耐火性検査で、燃え広がった長さを短く改ざんするなど、早急に確認が必要なものもある。

 全日空では計141機に小糸工業製の約2万6000席の座席を搭載。日本航空も184機の計約3万席が小糸工業製で、座席の発注業務で約10年間も同社とやり取りをしてきた日航の男性技術者(43)は「一つの座席の開発に2年弱かかる作業を一緒にいくつもやってきたのに、こんな不正があって悔しい」と話した。
(2010年2月9日08時12分 読売新聞)

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