超高層ビルの長周期地震動対策が義務づけられるそうです
今日、移動の電車内で、反対側の人が朝日新聞を読んでいたら、一面にこんな記事が載っていました。
超高層建築物を対象にした地盤調査には、常時微動測定による地盤の卓越周期の調査を行っています。
記事に有るとおり地震の揺れの周期(地盤の卓越周期)と建物の固有周期が重なると共振しますので、常時微動測定によって求めるわけです。
名古屋や大阪では加速度計の5秒計程度でなんとかフォローできるようですが、首都圏は軟弱層が厚いため5秒よりも大きい卓越周期を調べる必要があるそうです。
大手の調査会社では10秒計を持っていて、調査していると聞いています。
ボーリング孔内で行う常時微動測定は、現実的にせいぜい1秒を測定できる程度のものしか入りませんので、地表で計測するしかないのですが、都市部では風のノイズだけでなく、交通ノイズなど色々と計測に難しい条件がでてきます。
義務化されたシミュレーションの計算結果で対策した建物に本当の地震が来たらどうなるのだろう?意地悪いことを考えてしまいました。
正直申し上げると、私は出来ればそう言うところに住みたくもなければ、職場にもしたくありません。
自分のやっている仕事は何なんだろう?と思ってしまうわけですが・・・。
asahi.com(朝日新聞社):超高層ビル「ゆっくり揺れ」対策も義務化 国交省方針 – 住まいニュース – 住まい
超高層ビル「ゆっくり揺れ」対策も義務化 国交省方針
2011年1月11日4時0分
震源から遠く離れた高い建物を大きく揺らす危険がある長周期地震に対応するため、国土交通省は新たに建てる高さ60メートル以上の超高層ビルやマンションに、長周期の揺れも考慮した耐震強度を義務付ける方針を固めた。すでに完成した超高層ビルにも、揺れに耐えられるか点検し、必要なら補強工事するよう求める。早ければ新年度前半からの義務化を目指す。
長周期の地震動は、1回の揺れの時間(周期)が2秒から数十秒と長く、ゆっくりとした揺れが特徴。今回、対応が義務化されるのは高さ60メートル以上のビルやマンションで、おおむね20階以上の建物が対象となる。東京、大阪、名古屋の3大都市圏で先行的に義務化する。3大都市圏は近い将来、東海地震や東南海地震といった大規模地震の発生が予測され、地質的にも長周期地震の影響を受けやすい平野部に都市が密集するためだ。
これまでの建築基準法は、建物に必要な耐震強度を算出する構造計算は主に、阪神大震災のような短い周期の地震を想定していた。今後、同法の運用を見直し、新たな超高層のビルやマンションでは、長周期地震でどれだけ揺れるかを構造計算でシミュレーションすることが義務になり、より耐震性が強化される。
一方、完成した超高層ビルやマンションは全国で約2500棟あり、9割は3大都市圏に集中している。国交省は、3大都市圏ですでに完成した超高層ビルやマンションでも、長周期地震に耐えられるかどうかの点検を任意で求める。大きな揺れが予想される建物は、はりや柱に揺れを吸収する制震装置を設けて補強するなど、追加の対策工事を促す。
長周期地震では、超高層ビルは高い階ほど揺れが大きくなるとされ、上層階では家具が数メートル動き、転倒する家具が凶器に変わる危険が指摘されている。このため国交省は、新築の超高層ビルでは家具が固定しやすくなるよう、壁や天井を裏から補強する下地材を設けるなど、転倒防止策を講じることも義務づける。
建物には高さや構造によって揺れやすい周期(固有周期)がある。地震の揺れの周期と、建物の固有周期が重なる「共振現象」が起きると揺れが増幅され、地面の揺れは小さくても、高い建物は大きく揺れるようになる。
2003年の北海道・十勝沖地震では、震源から250キロ離れた苫小牧市の石油タンクが破損し、大火災が発生。04年の新潟県中越地震でも200キロ離れた東京の六本木ヒルズの森タワー(地上54階建て)でエレベーターのワイヤの一部が切れた。
国交省は、建設業界や有識者からの意見を踏まえ、早ければ11年度の前半から義務化する考え。(歌野清一郎)