山(切土)は変化する 盛土は水(地下水)に弱い

先週、地盤工学会の講習で、NEXCO中日本大月保全サービスセンターの大窪氏の講演を聴講することが出来ました。

大窪さんって人は、「話をするのが大好きな人なんだろう・・・」と思えるくらい、色々なお話しがでたので楽しい時間が過ごせました。

前回の八嶋先生の講演の時にお会いした同業他社の偉い人によると、大窪さんも以前は工事事務所(作る側)に居た方のようである。

私の所属する会社の偉い人とも、一緒に仕事をしたことがあるそうで、そのときにうちの会社の偉い人は測定器を谷底に落っことしたそうである。

 

さて今回のテーマは「高速道路の土構造物災害から学ぶこと」であった。

ここからは、印象に残った話の箇条書きです。

○道路公団の出している設計要領の「切土標準のり面勾配」や「盛土高に対する標準勾配」は、すべてこれまでの施工経験からの積み上げで作っているものである。

(まあ、当たり前の話だけれども、たたき上げの人が言うと重みがあります。)

 

○切土で問題になるのは、「山は日々変化する」ことであるが、表層崩壊の小規模なものが多い。日々の観察で対処している。

○グランドアンカーは、これからどうなるか・・・評価が難しい。

○大きな地震で、被害の出た高速道路の切土斜面は今のところ存在しない。

 

○盛土で問題になるのは、片切片盛土や谷埋め盛土の地盤であり、地下水の排水処理が重要である。

○最近は、ジオテキスタイルとかを利用して強度を上げているが、盛土の品質管理(締め固め)の徹底が重要である。

 

○盛土切土の災害被害は、高速道路開通後10年以内に、全体の7割が発生している。作ったらおしまいではなく、維持管理して世話をしていかなければならない。

○維持管理の金と災害復旧の金であるが、どちらが予算として計上し易いかという問題はあるが、予防保全をこれから進めていき長寿命化を進めていく必要がある。

○高速道路の場合、これら維持管理費は通行量によりまかなわれている。

 

今民主党が言っている高速道路無料化というのは、裏を返すと「予防保全」の予算すら削ってしまうことになりそうな気がします。

災害が出てから復旧するのにかかるお金よりも、少しずつ修繕をしながら維持管理していく方が、トータルコストは少ないように思います。

「無料」をありがったがったり、「ばらまき」を歓迎するのは、こういう資産の短寿命化を進めていくリスクがあることを、意識している人はあまりいません。

 

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