Ⅱ-1-2 軟岩の切土のり面保護工 令和7年度技術士第二次試験問題〔建設部門-土質及び基礎〕

この記事はGeminiにインプットしたら吐き出したものをまとめています。

これも、地質調査会社勤務の例と建設コンサルタント勤務の例でやってみて比べてみました。


attach_11169_2

設問

II−1−2は、切土掘削によってのり面が風化しやすい軟岩となり、湧水が確認されていない現場の切土のり面保護工について、のり面緑化工(植生工)構造物工、およびこれらを併用する工種の中から、適用可能な工種を3つ挙げ、その概要、特徴、および留意点を述べることを求めています。

この現場条件(風化しやすい軟岩、湧水なし)を考慮し、適用可能な3工種を以下にまとめます。


1. 適用可能な保護工 3工種

分類工種
のり面緑化工植生基材吹付工
構造物工吹付のり枠工
併用工種植生マット・シート工とプレキャスト板工の併用(例:モルタル吹付併用)

2. 各工種の概要、特徴、留意点

1. 植生基材吹付工(のり面緑化工)

  • 概要(材料・構造):

    • 木質繊維、パルプ、種子、肥料、土壌改良材、接着剤などを水と混合し、高圧ポンプを用いてのり面に吹き付け、植生基盤を形成する工法です。

    • 基材が硬化し、植物が生育することで、根が地盤を拘束し、のり面を保護します。

  • 特徴:

    • 緑化効果が高く、景観に優れます。

    • 地盤の浸食防止風化抑制に効果があります。

    • 比較的経済的であり、施工が容易です。

  • 留意点:

    • 軟岩の風化進行が速い場合、基材が定着する前に地山が崩壊する可能性があるため、早期の定着が必要です。

    • 基材が厚すぎると植生の生育に悪影響を及ぼす場合があるため、適切な厚さの管理が重要です。

2. 吹付のり枠工(構造物工)

  • 概要(材料・構造):

    • のり面に鉄筋を格子状に配置し、その上からモルタルまたはコンクリートを吹き付けて枠状の構造物を形成する工法です。

    • 枠の内部は植生工などで緑化されることが多いです。

  • 特徴:

    • のり面の安定性を向上させる構造的な効果が高いです。

    • 風化しやすい軟岩の表面をモルタルやコンクリートで完全に覆うため、風化の進行を強く抑制できます。

    • 湧水がないため、水による裏込めの劣化を考慮する必要がなく、工法の効果を発揮しやすいです。

  • 留意点:

    • 景観の観点からは、植生基材吹付工に劣ります。

    • のり面全体の変位に追随しにくい場合があるため、大きな地盤変形が予想される場合は、枠内の地山の状態を定期的に点検する必要があります。

3. 植生マット・シート工とプレキャスト板工の併用(併用工種)

  • 概要(材料・構造):

    • 植生用の種子や肥料を組み込んだマット(植生マット)をのり面に敷設し、同時にプレキャストコンクリート板をのり面に設置してマットを固定・保護する工法(またはプレキャスト板の隙間に植生を行う工法)です。

    • 軟岩の表面をプレキャスト板で覆い、風化を抑制しつつ、緑化も実現します。

    • (例として、アンカーなどで固定したプレキャスト板の間にモルタルを吹き付け、その上に植生基材を吹付ける工法なども考えられます。)

  • 特徴:

    • プレキャスト板が風化しやすい軟岩の保護早期の安定に貢献します。

    • 植生により景観を保ち、表面侵食を防ぐことができます。

    • 湧水がないため、水抜き孔の設置など複雑な対策を省略でき、シンプルな構造で高い効果が期待できます。

  • 留意点:

    • プレキャスト板の継ぎ目から水が浸入し、裏側の軟岩を風化させないよう、継ぎ目の処理(コーキングなど)に注意が必要です。

    • のり面勾配によっては、プレキャスト板の固定方法を適切に選定する必要があります。

Ⅱ-1-2 設問の解答案(地質調査会社経験を反映)

設問

II−1−2は、切土掘削によってのり面が風化しやすい軟岩となり、湧水が確認されていない現場の切土のり面保護工について、適用可能な3工種(緑化工、構造物工、併用工種)を挙げ、概要、特徴、および留意点を述べることを求めています。

地質調査会社としての経験を踏まえ、軟岩の風化速度斜面安定性の観点から、工種選定の考え方と留意点を強調します。


1. 現場条件と工種選定の考え方

  • 現場条件: 風化しやすい軟岩(地山強度が低い)、湧水なし。

  • 地質調査の知見: 「風化しやすい軟岩」は、空気に曝されることで強度低下が急速に進む特性(例:泥岩、頁岩、凝灰岩など)を持つ場合が多く、早期に表面を遮断・安定化させる必要があります。湧水がないことは、背面水圧による安定性低下のリスクが低いことを意味し、構造物工法の適用性が高いと判断できます。

  • 工種選定方針: 早期の表面保護(風化抑制)地山の安定を両立できる工種を選定します。


2. 適用可能な保護工 3工種

1. 植生基材吹付工(のり面緑化工)

項目詳細
概要(材料・構造)木質繊維、種子、肥料、接着剤、土壌改良材などを水と混合したスラリーをのり面に吹き付け、植生基盤を形成します。植生の根系により、表面の浸食防止と表層地盤の結束力を高めます。
特徴* 景観に優れる最も一般的な緑化工法です。* 地表水の浸食を防止し、初期の風化を抑制する効果があります。* 湧水がないため、基盤の流出リスクが低く、定着しやすいです。
留意点* 軟岩の風化速度が早い場合、植生が定着する前に基材ごと崩落・剥離するリスクがあります。* 強度的な安定効果は限定的であり、自立安定が確認されたのり面にのみ適用可能です。* 吹付厚さが不足すると、乾燥により植生基材が硬化せず、剥がれやすくなります。

2. 吹付のり枠工(構造物工)

項目詳細
概要(材料・構造)のり面全体に鉄筋を配し、その上からモルタルまたはコンクリートを吹き付け、格子状の強固な枠を築造する工法です。枠内には植生工が併用されることが多いです。
特徴* 枠体が地山の拘束力を高め、構造的な安定性を大きく向上させます。* 風化しやすい軟岩の表面をモルタルやコンクリートで覆うため、風化の進行を最も強く抑制できます。* 湧水がないため、水抜き孔などの複雑な対策が不要で、枠体の効果を最大限に発揮できます。
留意点* 地山の変位が大きいと、枠体にひび割れが生じ、そこから水が浸入し裏込め部の風化を促進する可能性があるため、定期的な点検が必要です。* 景観性は緑化工に劣るため、周辺環境との調和に配慮した設計が求められます。

3. 植生マット・シート工とラス金網工の併用(併用工種)

項目詳細
概要(材料・構造)植生用の種子を含んだ植生マットや植生シートをのり面に敷設し、その上からラス金網(ワイヤーメッシュ)を敷設・固定し、金網の上から薄層のモルタルなどを吹き付けて定着させます。
特徴* ラス金網と薄層モルタルが軟岩の表層剥離・初期風化を強力に抑制し、マットの定着を助けます。* マット内の植生が金網を覆い、景観と安定を両立します。* 吹付のり枠工よりも柔軟性が高く、地山の微細な変位に追従しやすいです。
留意点* 軟岩表面の凹凸が大きい場合、マットや金網が密着しない箇所が生じ、その部分から風化が進行する可能性があります。* 金網と地山との固定(止め釘、アンカーなど)が不十分だと、マットや金網がたわみ、剥離しやすくなるため、固定ピッチの設計に留意する必要があります。

Ⅱ-1-2 設問の解答案(設計コンサルタント経験を反映)

設問

II−1−2は、風化しやすい軟岩の切土のり面保護工について、湧水がないという条件のもと、3つの分類(緑化工、構造物工、併用工種)から適用工法を挙げ、概要、特徴、および留意点を述べることを求めています。

設計コンサルタントとして、地盤の安定性構造物の機能維持の観点から、風化の進行を阻止し、長期間の安定を確保できる工法選定とその管理上の留意点を強調します。


1. 現場条件と工種選定の考え方

  • 現場条件: 掘削により風化しやすい軟岩が露出しており、湧水は確認されていない

  • 設計上の課題: 軟岩は空気に曝されると強度低下が急速に進むため、早期に表面の風化を遮断し、長期的な安定性を確保することが最優先課題となります。湧水がないため、水圧による裏込め材の流出や凍上による構造物変状のリスクは低いと判断できます。

  • 工種選定方針: 構造的安定性が高く、風化の進行を物理的に抑制できる工法を主体とし、景観に配慮する場合は併用工法を採用します。


2. 適用可能な保護工 3工種

1. 厚層基材吹付工(のり面緑化工)

項目詳細
概要(材料・構造)木質繊維、種子、肥料に加え、粘性の高い土壌改良材長繊維を多量に配合した基材を、厚さ 5cm10cm

程度
に吹き付けます。これにより、早期に強固な植生基盤層を形成します。
特徴* 一般的な植生工より厚く、耐久性の高い層を形成することで、軟岩表面の乾燥・風化を抑制しつつ、緑化を達成します。* 簡易な工法の中では比較的景観に優れ、のり面全体を被覆できます。* 湧水がないため、基材が定着しやすく、流出リスクが低いです。
留意点* 地山の不安定性が大きい場合、基材層ごと剥離・崩落する可能性があるため、地山の自立安定性を詳細に確認することが必須です。* 厚層のため、基材の品質管理(配合、締固め、均一な厚さ)が植生定着の成否に直結します。

2. 吹付のり枠工(構造物工)

項目詳細
概要(材料・構造)のり面に配置した鉄筋を基礎として、モルタルまたはコンクリートを吹き付けて格子状の剛な構造体(枠)を構築します。枠内には土砂や植生基材を充填し、緑化を図ります。
特徴* 構造的な強度が高く、のり面を面的に拘束するため、風化しやすい軟岩の表層崩壊に対して最も有効な対策の一つです。* 湧水がないため、裏込め水圧による枠体の変形リスクが低く、設計通りの安定効果が発揮されやすいです。* 地山の強度低下が懸念される場合に、設計安全率を確保するために優先的に採用します。
留意点* 景観性に劣るため、周辺環境に応じた枠内の緑化計画を綿密に行う必要があります。* 地山の変位や温度変化により、枠体にひび割れが生じた場合、そこから水が浸入し地山の風化を加速させる可能性があるため、定期的な点検と補修が不可欠です。

3. 植生ネット・シート併用によるグラウンドアンカー工(併用工種)

項目詳細
概要(材料・構造)のり面全体を高強度なワイヤーメッシュや植生ネットで覆い、このネットをグラウンドアンカー(恒久アンカー)で軟岩の奥深くに定着させる工法です。アンカーの頭部を固定する際には、コンクリートの小規模な枠(控え工)を併用することもあります。
特徴* のり面全体を積極的に抑え込むことで、表層の風化とそれに伴うすべり破壊を同時に防止する最も高レベルな対策です。* 軟岩の恒久的な強度保持が難しい場合でも、アンカーの引張力により安定性を維持できます。* ネットやシートを使用するため、緑化の併用が容易であり、景観に配慮しつつ高い安定性を確保できます。
留意点* アンカーの設置費用が高く、周辺地盤への影響(アンカーの引張力が作用する領域)も考慮した詳細な設計が必要です。* アンカーは腐食により機能が低下するため、恒久アンカーとして必要な防食対策(二重防食など)を厳重に施し、将来的な点検・再緊張の計画をあらかじめ策定しておく必要があります。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください