Ⅱ-1-1 粘性土のせん断強度を求める室内土質試験 令和7年度技術士第二次試験問題〔建設部門-土質及び基礎〕
この記事はGeminiにインプットしたら吐き出したものをまとめています。
少し遊んでみました。地質調査会社勤務の技術者の回答とか設計コンサルタントの技術者の回答とかやらせてみました。
たぶん、合格する答案を書くには、上と下をうまくブレンドしたほうがいいのかなあと思いました。
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設問 は、粘性土のせん断強度を求める室内土質試験である一軸圧縮試験と三軸圧縮試験について、その概要、留意点、および一般的な使い分けについて述べることを求めています 1。
以下に、設問に答えるための構成要素をまとめます。
1. 一軸圧縮試験(Unconfined Compression Test: UC試験)
概要
試験方法: 粘性土の供試体(通常は乱れの少ない不攪乱試料)に側圧を加えず、軸方向に圧縮荷重を作用させてせん断破壊させる試験 2。
求める強度: 供試体の破壊時の軸差応力(最大主応力
σ1 と最小主応力σ3 の差。UC試験では のためσ1)の半分を一軸圧縮強度qu(粘着力 cu)として求める 3。σ3 =0- 用途: 主に非排水条件下のせん断強度(非排水せん断強度
留意点
適用範囲: 比較的締まった飽和粘性土(特に塑性指数
I p が大きい粘土)に限定される 4。乱れの影響: 側圧がないため、試料の乱れの影響を受けやすい 5。
乾燥防止: 試験中の供試体の乾燥を防ぐ必要がある 6。
2. 三軸圧縮試験(Triaxial Compression Test: TC試験)
概要
試験方法: 供試体を側圧容器(セル)に入れ、まず全方向から等方的な側圧(拘束圧
σ 3 )を作用させ、その後に軸方向にのみ軸差応力(偏差応力Δ σ )を加えてせん断破壊させる試験 7。種類: 排水条件によって、非圧密非排水試験(UU)、圧密非排水試験(CU)、圧密排水試験(CD)の3種類がある。
求める強度: 破壊時の応力状態(
σ 1 とσ 3 )を用いて、応力円(モール円)を描き、包絡線から粘着力 cと内部摩擦角ϕ(せん断強度定数)を求める 8。
留意点
試験の複雑さ: 試験装置が複雑で、準備や試験に時間がかかる 9。
排水条件: 目的とする現場の排水条件(例:盛土直後の非排水、長期安定の排水)を再現するように、適切な試験条件(UU, CU, CD)を選択する必要がある 10。
拘束圧: 現場の応力状態に対応した適切な拘束圧(側圧
σ 3 )を設定することが重要である 11。
3. 一般的な使い分け
| 項目 | 一軸圧縮試験 | 三軸圧縮試験 |
|---|---|---|
| 目的 | 非排水せん断強度 | せん断強度定数 |
| 排水条件 | 非排水条件の強度のみ 14 | 非排水、圧密非排水、排水の強度に対応 15 |
| 現場の適用 | 緊急時や一時的な安定(例:掘削直後)の検討 16 | 長期的な安定、沈下、詳細な変形解析の検討 17 |
| 利点 | 簡単で迅速に測定可能、試料調整が容易 18 | 現場の応力状態や排水条件を再現でき、精度の高いせん断強度定数が得られる 19 |
| 欠点 | 側圧がないため精度の信頼性が低い場合がある 20 | 複雑で時間とコストがかかる 21 |
これではたぶん目にとまらない回答にしかならないので、少し加えてみました。
素の回答と技術者経験を匂わせる回答を作る必要がありそうです。
Ⅱ-1-1 設問の解答案(地質調査会社経験を反映)
粘性土のせん断強度を求める室内土質試験として用いられる一軸圧縮試験(UC試験)と三軸圧縮試験(TC試験)について、地質調査会社の経験を踏まえた回答案を作成します。特に、現場の土質状況と目的に基づいた使い分けと、品質管理上の留意点を強調します。
1. 一軸圧縮試験(UC試験)
概要と目的
一軸圧縮試験は、主に飽和粘性土の非排水せん断強度を迅速かつ簡便に求めるための試験です 1。採取した供試体に対して側圧をかけず、軸方向のみに圧縮荷重を作用させ、破壊時の最大軸差応力 を測定し、として算出します 2。
留意点(経験に基づく品質管理)
試料の品質確保: 側圧がないため、試料の乱れの影響を最も受けやすい試験です 3。地質調査員は、サンプリング時(特に薄肉サンプラー)に鉛直・水平方向の乱れを最小限に抑えた高品質の**不攪乱試料(アンダーターブドサンプル)**を採取し、速やかに試験室へ持ち込むことが極めて重要です。
非排水状態の維持: 現場での非排水強度を求めるため、試験中はもちろん、サンプリングから試験までの供試体の乾燥を防ぐ措置(パラフィンコート、ラップ巻きなど)を徹底します 4。
適用範囲の確認: 一軸圧縮試験は主に塑性指数
I p が大きい粘土に適用可能であり、側圧ゼロで自立できない非飽和土や砂質土、非常に軟弱な粘土には適用できない点に留意します 5。
2. 三軸圧縮試験(TC試験)
概要と目的
三軸圧縮試験は、供試体にセル圧(側圧)を加え、現場の応力状態を再現した状態で軸差応力を作用させて破壊させ、その際の**せん断強度定数(粘着力
と内部摩擦角)**を詳細に求めるための試験です 6。試験条件により、非圧密非排水(UU)、圧密非排水(CU)、圧密排水(CD)の3種類を使い分けます。
留意点(経験に基づく品質管理)
現場応力状態の再現: 現場の有効上載圧を考慮した**拘束圧(
σ 3 )**を設定することが、試験結果の信頼性を高める上で最も重要です 7。特に、地下水位や掘削深さを考慮して、適切に拘束圧を決定します。排水条件の選択: 求める強度指標に応じて、適切な排水条件を選択します。
UU試験: 盛土直後など、非排水条件下の短期安定解析に用います。
CD試験: 構造物完成後の長期安定解析や、圧密沈下後の有効応力解析に用います。
CU試験: 圧密沈下を考慮した短期・中期的な強度評価に用います。
圧密・せん断速度の管理: CU・CD試験においては、間隙水圧測定を行いながら、供試体が完全に圧密・排水するように適切な載荷速度を維持し、過剰間隙水圧がゼロに近づいたことを確認する厳密なプロセス管理が求められます。
3. 一軸圧縮試験と三軸圧縮試験の一般的な使い分け
地質調査・土質試験の経験に基づくと、両試験は**「目的とする解析の種類」と「要求される精度・コスト・納期」**によって使い分けられます。
| 項目 | 一軸圧縮試験 (UC試験) | 三軸圧縮試験 (TC試験) |
|---|---|---|
| 主な強度指標 | 非排水せん断強度 | せん断強度定数 |
| 設計・解析目的 | 盛土・掘削直後の短期安定計算(全応力解析)や、概略的な強度の迅速な把握。 | 構造物完成後の長期安定計算(有効応力解析)、詳細な変形・沈下解析。 |
| 現場での利用 | 予備調査や地盤改良効果の速報値の確認、現場密度・含水比との相関把握。 | 本設計に用いる最終的な強度定数の決定。 |
| 精度とコスト | 低精度(側圧ゼロ)だが、低コストかつ短納期で結果が得られる。 | 高精度(現場応力再現)だが、高コストかつ長納期(特にCD試験)。 |
具体的な使い分けの例:
初期の地盤安定検討: まずUC試験を行い、おおよその非排水強度
c u を迅速に把握し、切土・盛土の仮の安定検討に利用します 8。最終設計時の強度決定: 長期安定や沈下を厳密に評価する必要がある本設計段階では、現場の排水条件を考慮したCU試験やCD試験を実施し、信頼性の高いせん断強度定数 cとϕを決定します 9。
このように、地質調査会社としては、現場の重要度、工程、コストを考慮し、最も適切な試験を選択し、得られた結果を現場の地盤情報(N値、コア観察結果など)と照合して、総合的に強度特性を評価することが求められます。
Ⅱ-1-1 設問の解答案(設計コンサルタント経験を反映)
粘性土のせん断強度を求める室内土質試験である一軸圧縮試験(UC試験)と三軸圧縮試験(TC試験)について、設計コンサルタントとしての経験を踏まえ、設計モデルの構築と構造物の安定評価の観点から回答案を作成します。特に、設計思想に基づいた試験条件の選定とパラメータ設定の留意点を強調します。
1. 一軸圧縮試験(UC試験)
概要と設計上の目的
UC試験は、非排水条件における粘性土の非排水せん断強度 を迅速に求める試験です。側圧ゼロ()の状態で供試体を圧縮破壊させ、最大応力の半分を
とします。
設計コンサルタントとしてこの試験結果を用いる主な目的は、全応力解析による短期的な安定評価です。
- 目的: 盛土築造直後や掘削直後など、地盤の排水が完了していない非排水状態における、すべり破壊に対する安全率の概略的な確認に使用します。
設計上の留意点(パラメータ設定)
強度の信頼性評価: UC試験の強度は、側圧が作用しないため、三軸試験よりもバラつきが大きい傾向にあります。設計では、得られた
c u の値をそのまま使うのではなく、バラつき(標準偏差)を考慮した設計用c u を設定するか、三軸試験との相関を確認して保守的に採用します。設計モデルへの適用: UC試験で得られた
c u は、全応力解析モデルにおいて、**せん断強度定数としてϕ = 0 (内部摩擦角ゼロ)**と仮定した解析に用いられます。
2. 三軸圧縮試験(TC試験)
概要と設計上の目的
TC試験は、供試体に**拘束圧(側圧)**を加え、現場の応力状態を再現した状態でせん断破壊させ、粘着力 と内部摩擦角のせん断強度定数を詳細に求める試験です。設計コンサルタントとしてこの試験結果を用いる目的は、解析モデルに応じた精度の高い強度パラメータの取得です。
UU試験(非圧密非排水): 短期安定解析用パラメータ(全応力)として、UC試験より信頼性の高い
c u を求めるために使用します。CU・CD試験(圧密非排水・排水): 長期安定解析や圧密沈下、変形解析など、有効応力解析に不可欠な有効応力表示のせん断強度定数(
c ′ 、ϕ ′ )を決定するために使用します。
設計上の留意点(パラメータ設定)
排水条件と解析法の整合性: 最も重要な留意点は、試験で採用した排水条件と設計解析手法(全応力法か有効応力法か)を必ず整合させることです。
- 長期的な安定解析(例:盛土完成後数年)では、地盤の圧密が進行しているとみなし、CD試験やCU試験から求めた有効応力強度定数 (
) を用いて有効応力解析を行う必要があります。
- 長期的な安定解析(例:盛土完成後数年)では、地盤の圧密が進行しているとみなし、CD試験やCU試験から求めた有効応力強度定数 (
拘束圧の選定: 現場の応力履歴や将来の荷重条件を考慮し、供試体にかかる現場の有効応力を再現する適切な拘束圧
σ 3 を選定することが、試験結果の設計への適用性を高める鍵となります。
3. 一般的な使い分け(設計思想に基づく判断)
設計コンサルタントは、構造物の安全性と経済性のバランスを考慮し、以下のように両試験を使い分けます。
| 項目 | 一軸圧縮試験 (UC試験) | 三軸圧縮試験 (TC試験) |
|---|---|---|
| 設計フェーズ | 概略設計、予備検討、簡易な工法選定時 | 詳細設計、最終的な安定計算、高度な変形解析時 |
| 設計指標 | 全応力強度(非排水せん断強度 | 全応力強度および有効応力強度 ( |
| 使用目的 | 時間的に制約のある短期的な安定(例:仮設山留め)のチェック | 構造物の供用期間を通じた長期的な安定と許容変位の確認 |
| 経済性・精度 | 迅速かつ安価だが、精度は限定的 | 高精度だが、コストと時間を要する |
結論として、
UC試験は、簡易的・保守的に、建設直後の短期的な非排水強度を評価するために使用します。
TC試験は、構造物の重要度が高い場合や、圧密沈下・長期安定を厳密に評価する必要がある場合に、現場の条件を再現した高精度の有効応力強度パラメータを取得するために不可欠となります。
