故谷謙二先生の今昔マップのデータの引継先が決まったという話と国土地理院の古地図情報公開の雑感
Twitterをみていたら、昨年夏にお亡くなりになった谷謙二先生の今昔マップのデータの引継先が決まったらしい。
そのまま電脳の藻屑と化すには勿体ない話というのか、私を含めてこれを利用して仕事して居る人も多いでしょうから、ひとまず安心なのかもしれません。
○今昔マップ谷謙二先生には改めて謝意を申し上げたいと思います。
「今昔マップ on the web」の引き継ぎ先が決まりました : 地誌のはざまに
こんな子細が描かれていました。(詳しく知りたい方はリンク先へ。)
今昔マップ on the web:時系列地形図閲覧サイト|埼玉大学教育学部 谷謙二(2000~2022年)
谷先生の素晴らしいところは、今昔マップをWebで見られるようにしていただけでは無く、QGIS対応のサーバーデータも公開してくれていたことです。
今回のような個人の努力によって形成されたデジタル遺産で、無くてはならないものみたいな存在になってしまうと、開発者が急逝してしまうようなことになった場合、その相続というのかが上手く行かないことになると思いました。
ここまで私的なものが公的なサービスで展開されていたら、公的なところが吸い上げないといけないと思うのですが、なかなか上手く行かないようです。
○国土地理院は何をやっているのだろう?
「国土地理院は何をやっているんだ?」みたいな話になると思いますが、実は国土地理院も今昔マップ相当のものは全日本で準備はしているような痕跡がちらほら見えます。
それは地理院地図のサイトをみると「年代別の写真」というこれまで撮影された空中写真を閲覧することが出来ます。
このような形で過去の空中写真の画像データが地理院地図にレイヤー表示ができ、インターネットで公開されています。
ここまでやっているのですから、古地図を地理院地図に貼る準備は全くしていないとは思えません。
QGISに表示もされます。今昔マップと空中写真を重ねて表示することも出来るわけです。
○国土地理院で古地図の抄本を出してもらったときの記憶
今昔マップの圏外の古地図が時々欲しくなるので、国土地理院に抄本の発行依頼することがあります。
私が居るところと国土地理院の出張事務所が至近にありますので、電話で申し込みしておいて国土地理院事務所で閲覧して出力してもらったことがあります。
国土地理院 中部地方測量部にやってきました。過去の二万五千分の1地形図の抄本をもらいに来ました 。 | 地質屋さんと呼ばないで
国土地理院の内部ネットワークでは、すでに「地図・空中写真閲覧サービス」のサイトのところから、ファイル参照することが出来ます。
そのファイルを大判プロッターで印刷する流れになっています。
畏れ多くて聞けませんが、その画像ファイルもらえませんか?なんて言いたいくらいでした。
全国の地図データとなるとそれなりの量になりますので、その辺りで公開が遅れている原因なのかもしれません。
本来ならば国土地理院の中の人が今昔マップを引き継いだら良いのにと思うことも多いわけです。
○最後に
QGISを利用して仕事をするようになって3年くらい経過しましたが、もうこれがないと仕事にならないくらいになってきました。
ウェブ上でゴリゴリするよりも、QGISでいろんな情報を重ねて解析する方が全然楽なわけです。
私は今昔マップの遺産の相続も大切だとは思いますが、早く国土地理院の古地図データが地理院地図に載ることを待っています。
引退する頃には具現化しませんかね?