根なし地盤の支持層について
太田ジオさんのブログに気になることが、書かれていました。
沖積の砂礫層は確かにN値が大きいため、それを支持地盤とした建物が神戸に限らず多いと思います。
例えば、日本海側の扇状地なんかもほとんどが沖積の砂礫層であり、表層から分布しているため、それを支持地盤にしている建物は多いはずです。
神戸は、確か六甲山地からの距離が非常に短いため、その土石流堆積物は硬いというのか、玉石や転石だらけで地盤(N値)の評価が難しい地盤であると言った方が良いような感じです。
それと同時に、杭基礎を施工するとなると、このような玉石や転石層を抜く基礎工事を行わないといけないとなると、かなりの施工費がかかるため、支持地盤の設定はかなり難しいわけです。
地震など無い常時の地耐力が確保できれば、そこに支持させたいと考えるでしょう。
特に支持層となる砂礫層の何10mも下位にある軟弱地盤を調査することは、通常ではあまりしません。
免震の建物の場合、工学的基盤をどこに設定するのかとも、関わってきますが、これもまた非常に難しいと思います。長周期震動の問題とも関わってくるのではないでしょうか?
もうだいぶ前になりますが、神戸のあるマンションの現場で、基礎を深礎にした現場がありました。
通常の建物の支持地盤の調査はノンコアでボーリングをしますが、ノンコアでは転石なのか、基盤岩なのかさっぱり解らないだろうから、ここの現場はコアボーリングを提案したことを覚えています。
結果的に、表層から比較的N値の大きい地盤だったのですが、転石や玉石の多い地盤で支持力が確保できるかどうかわからないところだったので、深礎基礎を施工した現場でした。
施工時には深礎の底面を見るように呼び出されて、深礎の底部まで確認に行きました。
ほとんど、その当時の写真を撮っていないのですが、一枚だけ写真が出てきました。
かなり深い深礎底部ですが、あたらめて今見るとまだ六甲山地からの堆積物のようにも見えます。
ここは、神戸でもだいぶ山側なので、その下位に沖積層のずぶずぶの堆積物があるとは想定していませんが、なかなか難しい地盤です。(守秘義務に抵触するか・・・)
これまで建造物は「地耐力」を中心に設計されてきたと思います。しかし、地耐力があってもビルは倒れ、戸建て住宅の谷埋め盛土は流れ、、、ということなので、沖積地盤や盛土地盤などの「根なし地盤上の建造物は杭基礎とする」というルール化が必要ではないかと思います。