この数日、一級建築士の構造計算書偽造問題は、技術者として許せない行為と関連団体もろとも避難の嵐が吹き荒れています。
悪魔に魂を売った技術者や企業がどのような顛末を向かえるのか・・・これから見せられるのでしょう。
かなり一個人にその矛先が向くのが痛い話ではあります。(その矛先が妥当かどうかは別として・・・)
技術者として自分の携わった仕事は、自身の「作品」と思って仕事をするしかないと思っています。
しかし、芸術家ではありませんから、その作品は満足のいくものができあがるまで、作り直すと言うことが許されません。
どれだけでもお金がかけられるのであれば、壊れないくらいいろんな手を尽くして過剰なまでに安全対策をとるでしょう。
しかし現実はそうではありません。建築の世界では、過剰なまでに安全対策をすれば、すごいコストになりますから、売り物になりません。仕方がないので、「法」や「基準」という下限値を設けることにしました。
その法や基準の定義が曖昧だと言えばその通りですが、それをクリアしていれば、どんなトラブルが起きても、今の技術においては「過失はない」というお墨付きが付くわけです。
でも真面目な技術者は、たぶん何かの天災が起きたときに、自分の関わった仕事で被害が出れば、身を切られるくらい痛いはずです。それが技術者の誇りだと僕は思います。
今回の問題は、過剰なダンピング合戦か、原価率低減(懐をふやすの)を目的に、踏み入れてはいけない領域に入ってしまい、泥沼に入っていきます。何処のどなたが悪いのでしょうか?
構造計算をやった建築士は、真面目な仕事をしても、偽造をしても仕事の手間としては変わりません。
むしろ、偽造した方がエネルギーの消費は大きいかもしれません。
ただ大事な元請けからの仕事を維持したかったから、やったように見えます。
発注者や審査機関がまともとも思えません。
真面目に仕事をしていれば、このような問題は大量には発生しません。
やったことは業界全体の信用をなくす大罪でありますが、発覚したのは氷山の一角かもしれません。
どんな仕事においても、「やってはならないタブー=悪魔のささやき」があるはずです。
一度その味を覚えてしまうと、「レッドカード」が提示されるまで、それをやり続ける麻薬みたいなものなのかもしれません。
僕は心の弱い人間ですから、その悪魔のささやきが、僕にもとても心地よく聞こえてきます。
なんとかそれを振り払いながら、やっているわけですが・・・この仕事向いていないのかと思います。
しかし、「嘘というメッキ」をかけ続けるのは、真面目に仕事し続けることよりもエネルギーを非常に消費します。普通の精神の持ち主は良心の呵責に苛まれ、だんだん気持ちも病んできます。
最後に剥がれたときには非常に見苦しい地金が露出するのです。
構造計算書を偽造した建築士に対して怒りを憶える前に、何故か同情してしまうのはこんな自分の心の弱さがあるからかもしれません。
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コメント
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